中学進学によって子供たちを取り巻く環境は、大人が想像するよりも、はるかに大きく変化します。
「中1の壁」という言葉をご存知でしょうか。
一般的には、小学校から中学校に進学した際、学習環境の大きな変化に適応することが出来ない状態のことを指します。
しかし「中1の壁」という一言でかたづけてしまってよいのでしょうか。
何が原因で壁にぶつかるのかを知り、出来るものならあらかじめ準備をしておいた方が安全です。
「中1の壁」は思ったよりも大きな壁です。
もくじ
小学校と中学校では何が違う?
「中1の壁」の原因は中学進学後の様々な変化です。
本人の成長。思春期・反抗期の始まり
思春期になると子供の体は徐々に大人に近づいていきますが、まだ精神は大人には遠く、心身のバランスが非常に不安定です。
心身のバランスが悪いとストレスを受けやすく、ストレス発散のために反抗的な態度が多くなります。
それが保護者に向かうのであれば受け止めてあげられますが、学校(勉強・部活・友達)に向かった場合は本人の生活に悪影響を及ぼす場合があります。
新しく人間関係を作る必要がある
お子様の中学校へは、何人が同じ小学校から進学するでしょうか。
多くの友達が進学するのであれば負担は軽くすみますが、同じ小学校からの進学が少ない場合は新しく友達を作る必要があります。
大人の職場では悩みの大半は「人間関係」です。
それは中学生だって同じ。
子供たちの悩みの大半も「人間関係」なんです。
どんな「友人関係」が築けるかによって学校生活の楽しさが変わり、また本分である勉強への集中度合いも変わってきます。
部活動が活発になる
小学校と中学校の大きな違いは、部活動の活動内容がより本格的になることです。
学校にもよりますが、部活への参加が必須の場合も。
部活動は大変貴重な経験になりますが、一方では部活に熱中するあまり、勉強が疎かになってしまう子供もいます。
特に入部したての1年生は体力もなく、へとへとに疲れ果て、帰宅後にまったく勉強ができないということもあるでしょう。
慣れないうちは大変ですが、勉強と部活の両立を目指す必要があります。
帰宅時間が遅くなる
小学校の場合、授業が終わり帰宅するのが15時半〜16時過ぎです。
中学校では授業が終わる時間が小学校よりも遅く、そこから部活動や生徒会活動などがあるため、帰宅時間が18時を過ぎることも珍しくありません。
さらにそこから塾に通うということもあるでしょう。
これまであった自由時間が激減し、疲れやストレスが溜まってしまうこともあります。
授業がむずかしくなる
中学校では、教科書で扱う内容量が小学校に比べ格段に増えます。
授業内容については『授業で触れた=理解した』という前提で進行していきますので、不明点を授業後に質問する、予習・復習を行い知識の取りこぼしをなくす努力が必要です。
原則学級担任が全教科を受け持っていた小学校とは異なり、中学校では教科ごとに先生が変わります。
それぞれの先生と関わる時間が小学校と比べて格段に短くなるため、個々の先生に適応できないケースも出てくるかもしれません(質問しづらいなど)。
授業時間は50〜60分(小学校は40~45分)程度で、1日あたりの時限数も増え、慣れるまでは集中を維持するのも困難です。
テストが違う
小学校のテストは月1回程度で基本的な内容が中心で、いわば全員が100点を取れるテストです。
一方で、中学校になると「中間」「期末」「学年末」といった形で、広範囲のテストを行うことになります。
テスト問題の内容も応用問題も増えむずかしくなります。
全員に100点をとらせるためのテストではなく、それ相応に難化した授業についての理解度をはかるテストとなります。
小学校では100点ばかりだったのに、中学校になると50~60点くらいしか取れないといったケースも往々にしてあります。
親が意外と見落としがちなこと
小学校と中学校で何が違うかについて前述しました。
もちろんその違いについては、保護者のみなさまにとっては経験してきたことですので、すでにわかっていることと思います。
しかし重要なのは、
子供たちにとっては、全ての変化が初めての体験
だということなんです。
人間は似たような経験があればそこから学び、また比較するなどして、対処することができます。
そのため我々大人は、転職をするなどの大きな生活環境の変化に対しても対処することができるのです(それでも大変ですが・・・)。
一方で子供たちは中学進学程の大きな変化は初めての子がほとんどです。
大人が想像できないほどの困難な毎日を、手探りで送ることになります。
学校での生活には親が手助けしてあげられることはありません。
しかし、出来るだけその負担を減らすよう、前もって準備しておくことは可能です。
「中1の壁」に対してできる準備とは
子供目線で「中1の壁」を考えてみる
これまで触れてきたように、子供には対処すべきことがたくさんあります。
1年生の1学期が始まった途端、それぞれの課題が同時多発的に襲い掛かってきます!
全部をうまくこなせるのは一部の優等生だけ、大部分の中学生は(無意識のうちに)先順位をつけ、出来るところから対処していくしかありません。
おそらくその優先順位は以下のようになります。
優先順位
- 学校での友達づくり(人間関係)
- 部活動に慣れる(人間関係・友達づくりの一環)
- 授業をうける(集中出来ているかは別)
- 塾・家庭教師(集中出来ているかは別)
- 自身の趣味・遊びの時間
- それ以外の勉強(家庭学習・授業での取りこぼしのフォロー)
賛否両論あろうかと思いますが、大体の子供が『友達作り>趣味・遊び>勉強』となります。
③④が比較的上位なのは、子供たちの意思に関わらず受けなければいけないものだからです。
ですので、聞いてはいるでしょうが、授業に集中出来ているかとうかは別です。(①②⑤で疲れており、集中出来ていないケースも)
友達作りと本格化した部活動に精一杯で、他のことまで手がまわらないというのが子供たちの本音だと思います。
とても大事なことなので仕方ないんですけどね^^;
「中1の壁」に対して、親として準備しておくとよいこと
さて、前置きが長くなりました^^;
端的にまとめていきます!
親として「中1の壁」への準備は
学力を上げておくこと。
子供の優先順位はどうしても①②⑤に意識が傾くので、③④⑥について多少手を抜いても大丈夫なように学力を上げておくということです。
具体的には以下の3点です。
- 授業を聞く姿勢を身に付けておく
- 学習の基礎力を身に付けておく
- 内申点の把握
①授業を聞く姿勢を身に付けておく
学校の授業は大事です。
1日の勉強時間のうち、最も長いのが学校の授業だからです。
授業をしっかり聞くという「習慣」は小学生のうちから身に付けておく必要があります。
一朝一夕で身につくものではないからです。
以下の2点を意識してください
- 面談などで先生に聞く
- 通知表の「主体的に学習に取り組む態度」に注目
①面談などで会うたびに「ちゃんと授業をきいているか」「おしゃべりやよそ見をしていないか」を聞いておきましょう。
先生が遠慮してしまわないように、丁重にお願いしておきましょう。
②通知表には「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の項目がありますが、3番目の「主体的に学習に取り組む態度」が他の2つよりも悪くないか、また、前学期、前学年から下がっていないかを確認しておきましょう。
もし心配があった場合は授業の様子などを先生に聞くとよいです。
また①②の内容は子供にもフィードバックできるとなお良いです。
小学校のうちから授業をしっかりと聞く習慣ができていれば、急に難易度があがった中学校の授業にもついていくことができます。
②学習の基礎力を身に付けておく
勉強は積み重ね、まるで積み木です。
土台(小学校での基礎)がしっかりしていないと、その上に積み上げる中学の勉強が困難になります。
最悪の場合、積み上げた学力が崩れ落ちてしまうこともあります。
もちろん全ての教科が大事ですが、算数・国語・英語は特に重要です。
- 算数は計算力+α(速さや割合など)
- 国語は読解力
- 英語は英語として学習(日本語の延長ではダメ)
どれも数多くの問題をこなし、自分のものにしておく必要があります。
愚直な反復練習が大事で、これには裏技はありません。
学校の授業だけでは少し心もとないので、家庭で基本の問題集を買ってくり返し行うのがよいと思います。
どれも問題を数多くこなし自分のものにする必要があります。
小学校のうちから身に付けておきたい学力の基礎(算数・数学編)
③内申点の把握
ほとんどの地域で内申点は中1の1学期の成績から加味されます。
近い将来、実力はあっても内申点が足りないという理由で志望校をあきらめるという事態に陥りかねません。
まず親がこのことを把握し、子供に話しておきましょう。(小学6年生3学期~中学1年生1学期の間で話し合いを持つ)
子供にとっては受験は初めての経験。
1度では伝わらないので、何度くり返し伝える必要があると思います。
こんにちは! サラリーマン主夫のしょーちゃんです!